半導体シリコンウェハーの専門商社、株式会社トリニティーのシリコンウェハーについてご紹介いたします。

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コラム

シリコンウエハー不足による各社値上げの波

半導体不足と同時に、半導体に必要不可欠なシリコンウエハーも世界的な不足に陥っています。
供給不足を解消するべく、半導体は増産体制に入りました。
そんな中、シリコンウエハーを製造している各社が、ウエハーの価格の値上げを発表しています。
シリコンウエハー業界では何が起きているのでしょう。

シリコンウエハー不足による値上げが相次ぐ!

世界的な半導体不足を背景に、シリコンウエハー市場に値上げの波が押し寄せています。
シリコンウエハー業界で世界トップシェアを誇る日本企業、「信越化学工業株式会社」も2021年4月1日から全商品の値上げに踏み切っています。

■シェアトップの信越化学工業が度重なる値上げ

先にもお伝えしていますが、シリコンウエハー業界トップシェアの信越化学工業は、2021年4月に、全商品を10%~20%値上げしています。
さらに、2021年8月には2度目となる全商品の値上げを10月出荷分から行うと発表しました。
また、これよりも前になる2021年7月には、半導体ウエハー容器の価格を20%値上げしています。
つまり、シリコンウエハーに関連する製品は、全て値上げされる結果となっています。

■シリコンウエハー業界全体に値上げが波及

シェア率トップの企業が値上げしているので、当然ながら追従する企業も値上げを行っています。
国内で2位につけている SUMCO(サムコ)や、中国のシリコンウエハー大手の硅産業集団(NSIG)も値上げを行いました。

シリコンウエハーが値上げした要因

では、シリコンウエハー業界で値上げが相次いでいる理由は、一体何なのでしょう。
現在の半導体不足は深刻で、このまま不足の状態が続けば日常生活に支障をきたすことも十分考えられる所まできています。
ですから、シリコンウエハーの価格が高騰し、その結果半導体自体の価格が上ったとしても、取り合いになるのは必至です。
ここでは、シリコンウエハーが値上がりした要因について見てみましょう。

■信越化学工業が値上げする理由とは

シリコンウエハー世界トップシェアの信越化学工業が、1年の間に2度の値上げに踏み切った理由は、次のように公表されています。

・主原料である金属ケイ素の価格が高騰
・メタノールや触媒原料の白金についても価格が高騰
・物流費や副資材などの費用も上昇
・これらの価格上昇によって、収益を圧迫する要因となっている

さらに、「製造コストの削減による自助努力だけでは、これらのコスト上昇分を吸収するのは困難と判断して、価格を改定することとした」とあります。
つまり、シリコンウエハーの供給不足を解消するために増産はするものの、原材料やその他の関連費用が上昇しているので、値上げは仕方ないことなのでしょう。

■増産体制を構築するには莫大な費用が必要となる

シリコンウエハーを増産する方法は2つあります。
一つは、現在の製造ラインを24時間フル稼働させること。
この場合には、人件費の増加と固定費の増加、資材の調達コストなど通常時のコストよりも、より多くのお金が必要となります。
その経費がこれまでの流通価格では、カバーできない現状となってきているのです。
2つ目の方法は、生産ラインを増やすこと。これには、設備投資費が必要となります。
SUMCO(サムコ)によればウエハー工場をゼロから作るとなると、500億円以上の初期投資が必要とのこと。
順次設備を増強していけば、約1,000億円以上になる可能性もあります。
これだけの設備投資を行うには、現行価格の50%~60%アップが実現しないと損益分岐点に達しないそうです。
さらに、人的問題もあります。高品質なシリコンウエハーの製造には、徹底した品質管理が求められます。
その域に達する人材を、1年程度で教育するのは難しいことです。

■世界シェアNo1とNo2の供給責任

半導体不足を解消するには、半導体を量産するしかありません。
その時に必要となるのが、シリコンウエハーです。
業界No1とNo2にあり、高品質なウエハーを提供している日本の2社には、これまでと同様に高品質なシリコンウエハーを世界に供給する責任があります。
とはいえ、企業はボランティアではありません。
供給するにあたり企業として成り立つ価格で提供するのは、至極当然のことです。
「品不足の弱点を突いた値上げ」ではなく、一早く半導体不足を解消するための値上げであれば、半導体業界もエンドユーザーもこれを良しとして、受け止めなくてはならないでしょう。

今後、シリコンウエハーの市場価格はどのように推移していくと予想される?

2021年は、シリコンウエハー業界全体において、市場価格が値上がりしました。
それでも半導体不足の解消までには至っていません。
では今後、シリコンウエハーの市場価格はどのように推移していくのでしょう。
ここでは、楽天証券の記事から読み取ってみます。

■シリコンウエハー出荷面積は増加

SEMI(国際半導体製造装置材料協会)の予測では、シリコンウエハー出荷面積は2021~2023年に年率4%~5%で増加する見通しとなっています。
先にも触れていますが、現在の単価では新たに生産ラインを増やすことはできません。
ですから、現行の生産ラインを増強しての出荷となります。
そのため現在の半導体不足を一気に解決できるまでの出荷数には至らないようです。

■2022年・2023年で50%以上の価格引上げなら新工場建設の可能性が高い

今後、2022年・2023年でも半導体の需要の伸びが大きく、シリコンウエハーの買取価格が50%以上引き上げられるなら、2023年末から2024年初頭にかけて、信越化学工業・SUMCO(サムコ)両社とも新工場建設に着手する可能性が高いと言えるでしょう。
その時には、シリコンウエハーの価格は現在の1.5倍から2.0倍となっています。

まとめ

世界的に半導体が不足している今、半導体に必要なシリコンウエハーの増産を求める声が、半導体メーカー各社から発せられています。
しかし、本格的に新工場を建設して生産ラインを増やすには、約1,000億円の投資が必要となります。
それに、新工場が本格稼働するには、早くて2年、遅ければ3年の期間が必要です。
例えば、その間に半導体に代わるものが現れたり、半導体をそこまで求めなくなったりすれば、シリコンウエハーの価格は暴落して企業倒産に至るほどのダメージを負うことでしょう。
今後、2年の間に半導体需要が衰えることなく、そして近い将来も需要が見込まれるのであれば、新たにシリコンウエハーの増産も実現するかもしれません。
その時には、ウエハーの価格は1.5倍以上となり、半導体の価格もそれに合わせて高騰する可能性が高いといえるでしょう。

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