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コラム

半導体不足は自動車メーカーへどのような影響を及ぼす?

半導体が不足している現状は、既に承知の事実となっているところです。
半導体不足はさまざまな業界に影響を及ぼしていますが、特に自動車業界への影響は大きいようです。
半導体を使用した自動車部品が製造できないため、各自動車メーカーにも大きな影響が出始めています。
今回は自動車メーカーに焦点をあてて、半導体不足による影響について見ていきます。

半導体が不足する事態に陥ってしまった原因

そもそも、今回の半導体不足に陥った原因は何だったのでしょう。
実はさまざまな要因が重なって、世界的な半導体不足を引き起こしています。
中には、予期せぬ偶発的なトラブルが重なって起きたことも、大きな要因となりました。
さらに、自動車業界に限って言えば、国内で起きたトラブルも大きな痛手となっています。

■新型コロナウイルス感染対策による大幅にアップした需要

100年に一度のパンデミックを、世界中で引き起こしている新型コロナウイルス感染症。
海外のあらゆる都市で、ロックダウンが実施され外出禁止になりました。
日本でも人流抑制を行うために、出社を控えてリモートワークへの移行が実施されています。
また、学校においてもオンライン授業が取り入れられ、新しい様式での学習方法が試されています。
その中で、需要が高まったのがパソコンやタブレットです。
会社単位、学校単位で新たに導入したため、需要が急増となりました。
それに比例して、半導体需要もまた増加しました。
ところが、新型コロナウイルス感染対策として、半導体メーカーでは工場を休業せざるを得ない状況となっています。
ここで、需要と供給のバランスが一気に崩れてしまいます。

■サムスンのテキサス工場が大寒波で閉鎖

2021年2月のコロナ禍で、アメリカテキサス州が大寒波に見舞われます。
大手電子機器メーカーサムスンは、オースティンにあるS2工場の操業停止を余儀なくされました。
その結果、約1ヶ月分の生産に遅れを生じています。

■台湾の水不足で半導体製造が減産となっている

台湾は「世界の半導体生産基地」と呼ばれるほど、半導体を製造する企業が集中しているところです。
中でも代表的な企業は、世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)です。
その台湾が56年ぶりの大干ばつに見舞われて、深刻な水不足に陥っています。
半導体の製造には、大量の水が必要です。
その必要な水が確保できないので、半導体の減産を余儀なくされています。

■日本国内でも半導体工場で大規模な火災が起きた

日本国内でも、半導体製造にトラブルが生じています。
サムスンの工場閉鎖より、遡ること4ヶ月。
2020年10月には、宮崎県延岡市にある旭化成エレクトロニクスの半導体製造工場で、大規模な火災が発生。
工場の再建は難しく、1工場分の半導体が供給不足となってしまいます。
ここで製造されていた半導体は、主に自動車業界用だったために、国内の自動車業界には大変ショッキングなトラブルです。
さらに、2021年3月には追い打ちをかけるように、茨城県の那珂工場でも火災が起きます。
この工場では、自動車に使われる最先端の300mmウエハーを生産していたので、自動車用の半導体には大打撃となっています。

深刻な半導体不足が自動車メーカーに及ぼす影響とは?

今回の半導体不足は自動車業界にとっても、とても深刻な問題となっています。
現在の新車には、スマートアシストと呼ばれる「衝突回避支援システム」が搭載されています。
このシステムは、半導体なくしては成り立たないモノです。
その他、ブレーキペダルを踏んだ時に点灯するブレーキランプや、ウインカーなどの制御にも半導体は利用されています。
さらには、エンジンさえも電子制御されているので、半導体がなければ車を動かすこともできません。

■2020年11月頃から納車がひっ迫してきた

2020年春には、一時的にトヨタ自動車のグループ総販売台数が前年比30%減となりました。
ですが、中国やアメリカでの販売が好調となり、9月以降の販売台数は前年比を上回る勢いで回復していきます。
ところが、半導体不足の影響を受けて、11月頃から納車に影響が出始めます。
自動車メーカーでは、効率的な生産活動を行うために、過剰在庫は持たないこととしています。
「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ」としているので、必要な量の半導体が入手できなければ、必要な生産をすることが困難になる結果となりました。

半導体市場は今後どのように推移していくのか

世界半導体市場統計(WSTS)によると、需要に供給が追い付いてはいないものの、需要が落ち込むことはなく今後も順調に右肩上がりに推移すると予想されています。
それにより、各国の主要企業では生産能力の強化や、安定したサプライチェーンの構築を目指す動きがみられるとしています。

■2022年もプラス成長に推移していく

世界半導体市場統計(WSTS)では、2021年、2022年ともに米州・欧州・日本・アジア太平洋の各地域で、前年比プラス成長が見込めると予測しています。
その中で日本市場をピックアップしてみると、2021年、2022年では、米ドル換算、円換算ともに前年比プラス成長を予想しています。
日本での円換算による半導体市場規模は、2021年が約4兆3,529億円(2020年比11.8%増)、2022年が約4兆5,872億円(2021年比5.4%増)と、いずれもプラス成長の予測となっています。

■主要企業が生産能力を強化

これまで半導体の供給には、アジア圏の企業を頼りにしていました。
ところが、今回の半導体不足を受けて、アップルなど主要企業は国内での自給率をアップさせる投資に踏み切っています。
アップルでは、ドイツ、ミュンヘンの拠点に3年間で約10億ユーロを投じて、シリコンデザインセンターを設置することを発表。
欧州で最大の無線用半導体とソフトウエアの開発拠点として、2022年から稼働予定としています。

まとめ

2020年から2021年は、半導体業界にとって苦しい年となっています。
そして、半導体不足の影響を多く受けた自動車メーカーについては、非常に厳しい時期を過ごす結果となりました。
海外主要企業が自国での半導体の生産強化策を打ち出しているので、時間の経過とともに半導体不足は解消していくことでしょう。
しかし、工場を新設しても結果がでるまでには最低1年は必要です。
そのため、早期に不足が解消されることはありません。
その間、自動車メーカーも苦しい営業を続けることが予想されます。
また、自動車メーカーだけでなく、自動車販売に関わる全ての企業が、苦しい時期を乗り越えなくてはなりません。

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